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平松昭良の展望|生成AI時代に、製造業DX支援者が果たすべき役割

こんにちは、平松昭良です。

今回は少しだけ未来の話をさせてください。生成AIをはじめとする新しい技術が、これまでにない速さで次々に登場するなかで、製造業の現場と、それを支えるDX支援は、これからどのように変わっていくのか。システムをつくる側を経験し、そして使う側でも悩んできた私なりの見立てを、お話ししたいと思います。流行を追いかける話ではなく、現場の足元から見た、地に足のついた展望としてお読みいただければうれしいです。

平松昭良が考える、技術が進むほど人が重要になる理由

生成AIの登場によって、もう専門家はいらなくなるのではないか、という声を耳にすることがあります。AIがなんでも答えてくれるなら、あいだに立つ人間の役割は薄れていくのではないか、と。ですが私は、むしろ逆だと考えています。技術が高度になればなるほど、それを現場へ翻訳できる人の価値は、かえって上がっていく。これが私の見立てです。

エンジニア時代から一貫して、私が見てきた失敗のほとんどは、技術そのものの失敗ではありませんでした。優れた技術が、現場の人に届かないまま放置される。使い方がわからず、目的も共有されず、やがて忘れられていく。つまり、技術と人とのあいだで起きる、翻訳の失敗だったのです。

この構図は、相手が生成AIになっても何ひとつ変わりません。どれだけ賢いAIが世に出てきても、それを現場の言葉へ置き換え、なぜそれを使うのかという目的を共有し、使う人の納得を一つひとつつくっていく役割は、これからも必ず残り続けます。むしろ技術が複雑になるほど、その翻訳の役割は重みを増していくはずです。道具が進化するほど、通訳が必要になる。私はそう考えています。

生成AIは製造業の現場に何をもたらすか

では、生成AIは製造業の現場で、具体的に何ができるのか。私が現実的だと感じているのは、世間で語られがちな派手な全自動化ではなく、もっと地味で、それでいて確かに効いてくる部分です。

たとえば、ベテランの頭のなかにしかなかった段取りのコツや、不具合への対処の勘を、言葉にして残せるようにすること。これまで属人化していた知恵を、聞き取りながら少しずつ形にしていく作業を、生成AIは大きく助けてくれます。あるいは、日報や点検記録のように、書くのが面倒で形骸化しがちな記録を、もっと楽に残せるようにすること。話しかけるだけで記録が整うようになれば、現場の負担はずいぶん軽くなります。

さらに、手順書づくりや、社内からの問い合わせ対応といった、本来やりたい仕事をじわじわと圧迫している雑務を減らしていくこと。こうした、考える時間を現場に取り戻していく方向にこそ、生成AIの本当の価値があると私は見ています。人の仕事を奪う道具としてではなく、人が本来の力を発揮するための余白を生み出す道具として、AIをとらえたいのです。

平松昭良が警戒しているAI導入の落とし穴

その一方で、私が強く警戒していることもあります。それは、生成AIが、新しい動かないシステムになってしまうことです。

かつて高機能なシステムが、現場で静かに使われなくなっていったのと、まったく同じ構図が、AIでも起こりかねません。流行に押されて、とりあえずAIを導入したというだけで、現場が使い方も目的もわからないまま放置されてしまう。立派な看板だけが掲げられ、中身は誰も触らない。そうなれば、私たちは過去の失敗を、名前を変えてそっくり繰り返すことになります。

新しいという理由だけで飛びつくのは、いちばん危ういことです。道具が新しくなっても、なぜそれを使うのかを現場と共有し、納得をていねいにつくっていくという基本は、何ひとつ変わりません。むしろ、技術が魅力的に見えるときほど、この基本を忘れやすいのだと、私は自分自身にも言い聞かせています。新しさそのものに価値があるのではなく、それが現場で生きてこそ、はじめて価値になるのです。

これから平松昭良が目指すこと

私がこれから目指しているのは、新しい技術を、現場が怖がらずに試せる状態をつくることです。

最先端を追いかけること自体が、目的なのではありません。工場で働く人が、新しい道具を自分の敵ではなく味方だと感じられること。難しそうだと身構えるのではなく、ちょっと使ってみようかと思えること。そして、小さく試してみて、たとえうまくいかなくても、落ち着いて立て直せること。そうした安心できる余白を現場につくっていくことが、これからの製造業DX支援者に求められる役割だと、私は考えています。

つくる側で過ごした時間と、使う側で学んだ時間。その両方を持つ人間として、私はこれからも、技術と現場のあいだに立ち続けたいと思っています。新しい波が来るたびに、その波を現場の言葉に翻訳し、誰も置き去りにしないこと。それが、これからの私のテーマであり、変わらない約束です。

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